Azureでデータを保存する際、「Blob Storage」と「Data Lake Storage」、どちらを選ぶべきか迷っていませんか?この2つは似て非なるもので、選択を間違えると将来のデータ活用で思わぬ手間やコストが発生しかねません。
この記事で、2つのストレージの違いから費用、デメリット、そしてあなたに最適な選択肢まで、すべてが分かります。
最大の違いはデータの「整理術」にあり!
2つのストレージの最大の違いは、データの**「整理の仕方」**です。大量のデータを「モノ」に例えると、その違いがハッキリと見えてきます。
Blob Storage = 巨大な体育館
あらゆるモノ(データ)を、広い床にどんどん置いていくスタイルです。一つ一つのモノには住所ラベル(ファイル名)が貼ってあるので、特定の1個を探すのは得意。しかし、「サッカー関連の道具を全部集めて!」と言われると、広い体育館中を探し回る必要があり、非常に時間がかかります。
Data Lake Storage = きれいに棚分けされた図書館
「スポーツ」「歴史」のようにジャンル(フォルダ)ごとに棚が分かれており、モノ(データ)は必ず適切な場所に整理整頓されています。「スポーツの棚にあるモノを全部持ってきて!」という指示にも、すぐに対応できるのが強みです。
この「整理整頓能力」こそが、Data Lake Storageがビッグデータ分析に強い理由です。技術的には**「階層型名前空間」**と呼ばれ、まるでPCのフォルダのようにデータを扱えます。
設定はワンクリック!
なんだかData Lakeは複雑そう…」と思われたかもしれませんが、ご安心ください。 この「図書館」か「体育館」かの選択は、Azureでストレージ(倉庫)を建てる最初の設計段階で、たった一つのチェックを入れるかどうかで決まります。
Azureでストレージアカウントを作成する際、**「詳細設定」タブにある「階層型名前空間を有効にする」**というチェックボックスを操作するだけです。
- Data Lakeにしたい → チェックON
- Blobにしたい → チェックOFF

たったこれだけで、ストレージの性格が決定します。後から変更はできないので最初の選択は重要ですが、設定自体は驚くほど簡単です。この手軽さを知っておくだけで、ぐっと心理的なハードルが下がりますね。
どちらを選択するか悩んだ時のポイント
ポイント1:保管料(場所代)は、どちらも同じ!
驚くかもしれませんが、データをただ置いておくだけの保管料金(GBあたりの月額料金)は、BlobもData Lakeも全く同じです。倉庫の広さが同じなら、体育館でも図書館でも賃料は変わらない、と考えると分かりやすいでしょう。
ポイント2:操作料(手数料)は、少しだけ違う
データを読み書きする際の「操作」には、個別に手数料がかかります。Data Lakeはフォルダ構造を管理するため、一部の操作でBlobより手数料がわずかに高くなることがあります。図書館で「棚のラベルを貼り替える」といった専門作業に追加料金がかかるイメージです。
ポイント3:【最重要】分析するなら、トータルコストはData Lakeが圧勝!
ここが最も大切なポイントです。ビッグデータ分析を行う場合、ストレージの手数料だけを見てはいけません。本当に重要なのは、**分析処理にかかる時間とパワー(=コンピューティングコスト)**です。
体育館(Blob)で分析する場合: コンピュータは、目的のデータを探すために体育館中を走り回る必要があり、その稼働費用(人件費のようなもの)が膨らんでしまいます。
図書館(Data Lake)で分析する場合: データが整理されているため、コンピュータは目的の棚に直行でき、稼働費用を大幅に節約できます。
結果として、ストレージの操作手数料が多少高くても、それを遥かに上回るコスト削減効果があるため、分析時のトータルコストはData Lakeの方が圧倒的に安くなるのです。
| 費用項目 | Blob Storage(体育館) | Data Lake Storage(図書館) | 結論 |
| ① 保管料 | 標準 | 標準 | 同じ |
| ② 操作料 | 安い | 少し高い | Blobが有利 |
| ③ 分析コスト | 高い | 圧倒的に安い | Data Lakeの圧勝! |
Data Lakeのデメリットと注意点
非常に強力なData Lakeですが、万能ではありません。選ぶ前に知っておきたい注意点があります。
1. 一部のBlob Storage機能に制限がある
これが技術的に最も重要な違いの一つです。Data Lakeは、Blob Storageが持つ便利な**「静的Webサイトホスティング」機能が利用できません。**
これは、ストレージにHTMLファイルなどを置くだけで簡単なWebサイトを公開できる機能です。Data Lakeは分析処理に特化して設計されているため、このWebサーバー機能は持っていません。 もしWebサイトを公開したい場合は、Web公開専用のBlob Storageアカウントを別途用意する、という使い分けが必要になります。
2. シンプルな用途にはオーバースペック
Webサイトに表示する数枚の画像を保存したいだけ、といった非常にシンプルな目的の場合、Data Lakeの持つ高度なディレクトリ管理機能は必要ありません。このような「宝の持ち腐れ」になるケースでは、よりシンプルなBlob Storageが適していると言えます。
最終結論:あなたのベストな選択は?
ここまでの内容を踏まえ、あなたに最適なストレージを選びましょう。
- Webサイトを公開したいですか?
- はい → Blob Storageを選びましょう。 これが最も明確な選択基準です。データ分析もしたい場合は、「Web公開用のBlob」と「分析用のData Lake」の2つを用意します。
- データ分析の予定はありますか?(将来的な可能性も含む)
- はい → 迷わずData Lake Storageを選びましょう。 トータルコストで必ず有利になります。
- いいえ、分析もWeb公開もせず、バックアップやファイル置き場としてだけ使いますか?
- この場合、どちらを選んでも大きな問題はありません。しかし、保管料は同じなので、迷ったらData Lake Storageを選んでおくのが、将来性への賢い投資と言えるでしょう。
まとめ
Azureストレージ選びのポイントは、非常にシンプルです。
- データの「整理術」が違う: ざっくり保管の「Blob」、きっちり分析の「Data Lake」。
- コストは「使い方」で決まる: 保管料は同じ。分析するならトータルでData Lakeが断然お得。
- 明確な目的で選ぶ: Webサイト公開ならBlob。将来の分析を見据えるならData Lake。
この記事が、あなたのAzureでのデータ活用をスムーズに始める一助となれば幸いです。

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