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Azure 自動MLの時系列予測:仕組み、モデル、評価指標までを徹底解説

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時系列予測は、過去のデータから将来の数値を予測するための重要な分析手法です。ビジネスにおける売上や需要の予測に広く使われますが、どの予測モデルが手元のデータに最適かを選ぶ作業は複雑で、時間がかかります。

Azure Machine Learningの自動ML(Automated ML)は、このモデル選択とチューニングのプロセスを自動化し、高精度な予測モデルを迅速に構築する機能です。

この記事では、自動MLが内部でどのようなモデルを試し、どの指標で評価し、最終的にどうやって最適な予測モデルを選び出しているのか、その一連の仕組みを網羅的に解説します

自動MLの仕組み:ハイブリッドなアプローチ

自動MLの特長は、単一のモデルに頼るのではなく、多種多様なモデルを系統的に評価する点にあります。そのアプローチは大きく分けて2種類です。

  1. 伝統的な時系列モデル: データの時間的な流れや季節性といったパターンを直接読み解く統計的手法。
  2. モダンな回帰モデル: 過去のデータを未来を説明するための「特徴量」として扱い、関係性を学習する機械学習の手法。

この2つの異なるアプローチを組み合わせることで、データの持つ様々な側面を捉え、より頑健な予測モデルを探し出します。

自動MLで利用される主なモデル

自動MLが評価対象とする主要なモデルを、カテゴリ別に示します。

カテゴリモデル名説明
伝統的な時系列モデルNaive (ナイーブ)「明日の値は今日の値と同じ」と予測する、最もシンプルな基準モデルです。
Seasonal Naive (季節性ナイーブ)1サイクル前の季節の値(例: 先週の月曜日の値)を予測値として使用します。
Exponential Smoothing (指数平滑法)直近のデータに大きな重みを与え、トレンドや季節性を考慮して滑らかに予測します。
ARIMA過去のデータ、トレンド、誤差を統計的に組み合わせて予測する、広く使われる強力なモデルです。
回帰モデルElastic Net, LARS LASSO多数の特徴量の中から、予測に重要なものだけを自動で選別する機能を持つ線形回帰モデルです。
Random Forest, XGBoost, LightGBM多数の決定木を組み合わせ(アンサンブル)、高い予測精度を実現する強力なモデル群です。
ProphetFacebookが開発したモデルで、休日効果や週・年単位の季節性の変動を柔軟に捉えることが得意です。
ディープラーニングForecastTCNニューラルネットワーク技術を応用し、より複雑で長期的なデータのパターンを学習します。
アンサンブルVotingEnsemble性能が良い複数の異なるモデルを組み合わせ、単一モデルを超える精度と安定性を目指します。

予測モデルの性能を測る「評価指標」

自動MLは、作成した多数のモデルの中から最も優れたものを選ぶために、複数の評価指標を用います。これにより、モデルの性能を客観的に数値で比較できます。

評価指標説明
二乗平均平方根誤差 (RMSE)予測誤差を二乗して平均し、その平方根を取った値。大きな誤差をより重視する性質があり、値が小さいほど良いモデルです。単位は予測値と同じ(例: 円、個数)。
平均絶対誤差 (MAE)予測誤差の絶対値の平均。直感的で分かりやすく、誤差の平均的な大きさを表します。値が小さいほど良いモデルです。単位は予測値と同じです。
平均絶対パーセント誤差 (MAPE)誤差をパーセントで表したものの平均値。「平均して何%予測がずれているか」を示し、異なるスケールのデータ間でも比較しやすいですが、実績値が0に近いと値が極端に大きくなることがあります。値が小さいほど良いモデルです。
正規化二乗平均平方根誤差 (NRMSE)RMSEをデータの範囲(最大値-最小値など)で割って正規化したもの。0から1の範囲に近くなり、異なるデータセット間でのモデル性能の比較がしやすくなります。値が小さいほど良いです。
決定係数 (R2)予測モデルが、実際のデータの変動をどれだけうまく説明できているかを示す指標。1に近いほど良く、1であれば完全にデータの変動を説明できていることを意味します。値が大きいほど良いモデルです。
スピアマン相関予測値と実績値の「順位」がどれだけ相関しているかを示す指標。値の大きさよりも、上昇・下降といった傾向を正しく捉えられているかを評価します。値が1に近いほど良いモデルです。

予測モデルの性能を測る「評価指標」

自動MLは、作成した多数のモデルの中から最も優れたものを選ぶために、複数の評価指標を用います。これにより、モデルの性能を客観的に数値で比較できます。自動MLは、作成した多数のモデルの中から最も優れたものを選ぶために、複数の評価指標を用います。これにより、モデルの性能を客観的に数値で比較できます。

評価指標説明
二乗平均平方根誤差 (RMSE)予測誤差を二乗して平均し、その平方根を取った値。大きな誤差をより重視する性質があり、値が小さいほど良いモデルです。単位は予測値と同じ(例: 円、個数)。
平均絶対誤差 (MAE)予測誤差の絶対値の平均。直感的で分かりやすく、誤差の平均的な大きさを表します。値が小さいほど良いモデルです。単位は予測値と同じです。
平均絶対パーセント誤差 (MAPE)誤差をパーセントで表したものの平均値。「平均して何%予測がずれているか」を示し、異なるスケールのデータ間でも比較しやすいですが、実績値が0に近いと値が極端に大きくなることがあります。値が小さいほど良いモデルです。
正規化二乗平均平方根誤差 (NRMSE)RMSEをデータの範囲(最大値-最小値など)で割って正規化したもの。0から1の範囲に近くなり、異なるデータセット間でのモデル性能の比較がしやすくなります。値が小さいほど良いです。
決定係数 (R2)予測モデルが、実際のデータの変動をどれだけうまく説明できているかを示す指標。1に近いほど良く、1であれば完全にデータの変動を説明できていることを意味します。値が大きいほど良いモデルです。
スピアマン相関予測値と実績値の「順位」がどれだけ相関しているかを示す指標。値の大きさよりも、上昇・下降といった傾向を正しく捉えられているかを評価します。値が1に近いほど良いモデルです。

自動MLは、これらの指標を算出して各モデルをランク付けし、ユーザーが指定した主要メトリック(Primary metric)に基づいて最適なモデルを選択します。

最適な評価指標の選び方

どの指標を重視すべきかは、予測の目的によって変わります。もし一つだけ選ぶのであれば、RMSE が最も一般的ですが、以下のガイドを参考に最適な指標を選んでください。

こんな時おすすめの指標理由
特に理由がなければ、まずこれを選ぶRMSE大きな誤差を防ぐ傾向があり、数学的にも安定しているため、多くの場面で標準的に使われる。
ビジネス担当者への報告で使いたいMAE / MAPE「平均〇〇円の誤差」「平均〇〇%の誤差」と直感的に説明できる。
予測を大きく外すことだけは避けたいRMSE誤差を二乗する特性上、大きな外れ値を厳しく評価する。
規模が異なるデータを比較したいNRMSE / MAPE単位を正規化・パーセント化するため、スケールの影響を受けずに性能を比較できる。

結論として、特別な要件がない限りは、Azure 自動MLのデフォルトでもある RMSE を主要な評価指標として選んでおけば、大きな間違いはありません。

最終モデルの構築:「アンサンブル学習」

様々なモデルを評価した後、自動MLは**「アンサンブル学習」を用いて最終的な予測モデルを構築します。これは「複数のモデルを組み合わせて、1つのさらに強力なモデルを作る」**アプローチです。

性能評価が高かった複数のモデルを抽出し、新しいデータを予測する際には、それら各モデルが出力した予測値を集約して、最終的な一つの予測値を決定します。この集約には「VotingEnsemble(投票アンサンブル)」という手法が使われます。これは、性能評価が高かったモデルの予測値ほど重視する(大きな重みを与える)「加重平均」を行うものです。これにより、単一モデルの弱点を他のモデルが補い、全体の精度と安定性を高めています。

まとめ

Azure 自動MLの時系列予測は、以下の合理的なプロセスに基づいています。

  1. 多様なモデルの試行: 伝統的な統計モデルからディープラーニングまで、多種多様なモデルを準備し、データに適用します。
  2. 最適なモデルの評価・選択: 各モデルの性能を複数の評価指標で測定し、データに対して最適なモデルを複数選び出します。
  3. アンサンブルによる精度向上: 最後に、性能評価が高かったモデルを組み合わせる「アンサンブル」を構築し、単一モデルを超える高精度な予測を実現します。

この一連のプロセスが自動化されているため、専門家でなくても、時間と労力をかけずに高度な時系列予測モデルを構築することが可能です。

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