サーバのリプレース(劣化更新)を行う際、現行サーバと新サーバの性能差を客観的に比較することは非常に重要です。 特にストレージ性能は、OSの動作・DB処理・ログ書き込みなど、サーバ全体のレスポンスに大きく影響します。
そこで役立つのが、無料で使えるストレージベンチマークツール CrystalDiskMark です。 この記事では、CrystalDiskMarkを使って新旧サーバのストレージ性能を比較する方法を分かりやすく解説します。
1. なぜサーバ更新時にストレージ性能比較が必要なのか
サーバのレスポンス低下の多くは、CPUやメモリよりもストレージI/Oの遅さが原因です。
- OSの起動が遅い
- DBのクエリが重い
- バックアップに時間がかかる
- ログ書き込みが詰まる
こうした問題が「旧サーバのストレージ性能に起因しているのか」を判断するために、CrystalDiskMarkは非常に有効です。
2. CrystalDiskMarkとは?
CrystalDiskMarkは、SSD・HDD・RAID・仮想環境などの読み込み(Read)と書き込み(Write)速度を測定するベンチマークツールです。
- 無料で使える
- 操作が簡単
- サーバ用途でも十分信頼できる
- 新旧サーバの比較に最適
特別な知識がなくても、数クリックで性能を測定できます。
3. CrystalDiskMarkの基本的な使い方
■ ダウンロードして起動
公式サイトからインストーラー版またはZIP版を入手し、起動します。現時点では、9.0.1が最新版のようです。

■ テスト設定を確認
CrystalDiskMark 8以降のデフォルト設定は以下の通りです。
- テスト回数:3回(Count)
- テストサイズ:1GiB(Size)
サーバ比較では、このデフォルト設定のままで問題ありません。 重要なのは 新旧サーバで同じ設定を使うこと です。
■ 「All」をクリックして測定開始

すべてのテストが自動で実行され、数値が表示されます。

4. サーバ比較で見るべき4つの項目
CrystalDiskMarkには複数の項目がありますが、サーバ用途で特に重要なのは次の4つです。
◆ SEQ1M Q8T1(大容量ファイル・並列処理)
大きなファイルを連続して読み書きする速度。 バックアップ処理やログのアーカイブなど、大容量データを扱う場面で性能差が出ます。

用途: バックアップ、大容量コピー、RAID性能
正常値の目安:
- SATA SSD:450〜550MB/s
- NVMe SSD:2,000〜7,000MB/s
ポイント: RAID構成の違いが最も出やすい
◆ SEQ1M Q1T1(大容量ファイル・単一処理)
ストレージの“素の性能”を測る基本的なシーケンシャル速度。 単純なファイルコピーやOS起動時の読み込みに影響します。

用途: ストレージの基本性能
正常値の目安:
- SATA SSD:350〜500MB/s
- NVMe SSD:1,000〜3,500MB/s
ポイント: “素の性能”を見る項目
◆ RND4K Q32T1(小さなデータ・高負荷ランダム)
小さなデータをランダムに大量処理する性能。 DBサーバや仮想環境など、高負荷時のI/O性能を比較するのに最適です。

用途: DB・仮想環境・高負荷時のI/O
正常値の目安:
- SATA SSD:200〜350MB/s
- NVMe SSD:400〜1,000MB/s
ポイント: サーバ用途で最重要
◆ RND4K Q1T1(小さなデータ・通常負荷ランダム)
OSやアプリケーションが日常的に行う細かい読み書きの速度。サーバの“普段のレスポンス”に最も近い指標です。

用途: OS・アプリの体感速度
正常値の目安:
- SATA SSD:20〜50MB/s
- NVMe SSD:40〜150MB/s
ポイント: “普段のレスポンス”に最も近い
5. サーバ比較における測定ポイント
- 旧サーバの数値を保存
- 新サーバでも同じ設定(3回・1GiB)で測定
- 特に RND4K Q1T1 と SEQ1M Q8T1 を比較すると効果が分かりやすい
- グラフ化すると提案資料として説得力が増す
📊 CrystalDiskMark 各項目の目安(サーバ・PC共通)
■ ストレージ別の一般的な速度目安
| 項目 | HDD | SATA SSD | NVMe SSD(Gen3) | NVMe SSD(Gen4) |
|---|---|---|---|---|
| SEQ1M Q8T1 Read | 100〜200 MB/s | 450〜550 MB/s | 2,000〜3,500 MB/s | 5,000〜7,000 MB/s |
| SEQ1M Q8T1 Write | 80〜150 MB/s | 400〜500 MB/s | 1,500〜3,000 MB/s | 4,000〜6,000 MB/s |
| SEQ1M Q1T1 Read | 80〜150 MB/s | 350〜500 MB/s | 1,000〜2,000 MB/s | 2,000〜3,500 MB/s |
| SEQ1M Q1T1 Write | 70〜120 MB/s | 300〜450 MB/s | 800〜1,800 MB/s | 1,500〜3,000 MB/s |
| RND4K Q32T1 Read | 1〜2 MB/s | 200〜350 MB/s | 400〜800 MB/s | 600〜1,000 MB/s |
| RND4K Q32T1 Write | 1〜2 MB/s | 150〜300 MB/s | 300〜700 MB/s | 500〜900 MB/s |
| RND4K Q1T1 Read | 0.3〜1 MB/s | 20〜50 MB/s | 40〜80 MB/s | 50〜100 MB/s |
| RND4K Q1T1 Write | 0.3〜1 MB/s | 20〜50 MB/s | 50〜100 MB/s | 80〜150 MB/s |
7. まとめ
CrystalDiskMarkは、サーバ更新時の新旧比較に最適なベンチマークツールです。
- デフォルト設定(3回・1GiB)で十分比較可能
- 特に RND4K と SEQ1M を見ればサーバの実力差が分かる
- OS領域とデータ領域を分けて測定すると精度が上がる
- 新旧サーバの性能差を客観的に示せる
サーバ更新の効果を説明する資料としても非常に有用です。


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